しかし、じつはニンニク信仰が強いのは韓国人より日本の人のほうではないかと思うことがある。
私は日本からの旅行者の飲み歩きに同行する「ソウル酒場ツアー」を行っているので、日本の人とじっくり話す機会が多い。

「日本では匂いを気にする人が多いので、翌日人に会う予定がないときしか食べられませんが、韓国に来ると思いっきりニンニクを食べられるのでうれしいです」

 そう言う人が多い反面、「ニンニクをたくさん食べると眠れなくなっちゃうんです」とか、「ニンニクを食べると元気が出過ぎて困るんです」などと言って忌避する人もけっこういる。

 これらはニンニクに対する期待や幻想が過剰だからこそ発せられる言葉だと思う。

 私たち韓国人にとってニンニクはいつもそこにあるものなので、食べると興奮するとか精がつくという意識は逆に少ない。日本の人のニンニク幻想はおそらく彼らにとっては非日常的ともいえる強い匂いからきているのではないだろうか。

 ニンニクにさまざまな効能があることは確かなようだが、やたらと量を食べても効果がないどころか胃を荒らすことにもなりかねない。1~2粒を毎日食べ続けるくらいがよいそうだ。その意味で、私たち韓国人はニンニクを摂り過ぎているとも言える。

 私が注目するニンニクの効能は肝機能の回復だ。日本の連休中に5度も酒場ツアーを行ったので、今朝もニンニクのすりおろしをたっぷり加えたキムチチゲをすすっている。

ソウル鐘路3街の古株「鐘路鶏林タットリタン」の鶏鍋は大量のニンニクが使われることで有名