韓国の玄関口と言えば、ソウル近郊の仁川国際空港と金浦国際空港、そして釜山・金海国際空港が思い浮かべる人が多いだろう。
実は、一部の韓国地方空港へも日本からの直行便が就航しているのをご存じだろうか。
2024年8月初旬、韓国のLCC、Aero K(エアロK)の成田-清州(チョンジュ)直行便を利用して、韓国中央部・忠清北道の道庁所在地、清州を訪ねた。ちなみに清州へはAero Kの関空便、T’way航空の福岡便も就航している(2024年8月現在)。
■韓国内陸部に位置する忠清北道・清州、街の歴史とご当地グルメ
車嶺山脈と小白山脈の支脈に挟まれた盆地型地形の清州は、三国時代に百済、新羅、高句麗による熾烈な領土争いが繰り返された場所だ。また、高麗時代に世界最古の金属活字を使用した書物「直指」が印刷された地としても有名である。
市の北東部には、地下から天然炭酸水が湧き上がる椒井薬水(チョジョンヤクス)があり、冷たい薬水の足湯体験ができる。
「朝鮮王朝実録」には、世宗大王がハングル創成の仕上げのために椒井行宮(ヘングン・王が地方に滞在するための臨時王宮)に121日間滞在、この薬水に浸かって眼病治療を行ったと記録されているという。
海に面していない清州では、内陸部特有のグルメを楽しむことができる。
市の中央を南北に流れる無心川に生息するカワニナを使ったスープ「オルゲンイグッ」は、ニンニクを効かせた味噌味のスープで食欲をそそる。
また、豚肉を玉ねぎや長ネギとともに、辛めの味付けで煮込んだ「チャグリ」を食べて汗を流せば、盆地型気候の特徴である夏の厳しい暑さをも吹き飛ばしてくれる。
■韓国ドラマのロケ地としても注目される清州
そんな様々な歴史やご当地グルメをもつ清州は、近年韓国ドラマのロケ地としても注目されている。
チョン・ウンジ(Apink)、イ・ジョンウン、チェ・ジニョク主演のNetflix話題作『Missナイト&Missデイ』には、清州市内が登場する。
主人公のイ・ミジン(チョン・ウンジ)の家は、門前に井戸がある。井戸の周囲に置かれた甕から、ミジンが焼酎を取り出すのが定番だ。ミジンの家の撮影に使われた家は、清州市中心部の閑静な住宅街の一角にある。
昼は50代のイム・スン(イ・ジョンウン)に、夜は20代へと姿を変えるイ・ミジンが、土手の上を自転車で通り過ぎていくシーンは印象的だ。あの土手の撮影は、清州国際空港から車で15分足らずの美湖川(ミホチョン)沿いにある井北洞土城(チョンブットントソン)で行われた。
井北洞土城は、外敵から村を守るために、後三国時代に造成されたと推測される土の城郭だ。周囲が650メートルほどあり、当時の正方形のままの姿を残している貴重な史跡だ。美しい夕景を楽しめる場所としても有名で、日没時間に合わせて大勢の市民がここを訪れる。