アジアの国々のビール会社は、激しいシェア争いを繰り広げている。観光客がたまに目にするのは、日本でいう居酒屋系の店にいるビール会社の派遣ガールだ。
中国、台湾、カンボジア、韓国……。派遣ガールは、国によって進む方向が違う。基本的に自社のビールをすすめるのだが、カンボジアはホステスに近づいている。客の横に座り、ビールを注いでくれるのだ。
■韓国の最新ビール事情、人気の飲み方は?
韓国のビール会社の派遣ガールはプレゼントに走っている。ある焼肉屋に入ると、ハイト眞露の派遣ガールがやってきた。同社のソジュ(焼酎)であるチャミスルか、ビールのテラ(TERRA)を注文すると、くじを引くことができ、景品が当たるという。
知人がテラを追加で1本頼み、くじを引くと、ハイト眞露のハンドクリームが当たった。
「ラッキー。これ、うちの妻が気に入ってるんです。効果はあるのにべとつかないからいいって。ハイト眞露の美容系の商品って品質がいいっていいますよね。この前、メルカリを見ていたら、ハイト眞露のハンドクリーム出品されてましたよ。1000円ぐらいの値をつけてたかな」
韓国のビールは種類が多いが、店に置かれているビールとなるとかなり限られてくる。営業力も絡んでくる。
必ずといっていいほど目にするのが、カス(Cass)とテラだ。そしてこの2銘柄が、爆弾酒系である。爆弾酒というのは、ソジュとビールを混ぜる飲み物のことだ。コロナ禍を経て、この爆弾酒の飲み方は減った
が、代わりに、ソジュのチェイサーのようにしてビールを飲む人が増えた。その需要を引き受けているのがこの2銘柄である。
アルコール度数はともに4.5%。それぞれライトがあり、これは4%だ。日本のビールのアルコール度数は5%程度が多いから、どちらも薄い感じがする。そこがソジュのチェイサーとしてのビールに選ばれる理由のようにも思う。
ソジュのアルコール度数は16%~20%ほどだ。日本酒やワインより強い。韓国では、それを小さめのグラスに注いで一気に飲む。カーッと体が熱くなる感じがする。日本酒に比べると激しさがある。
そこでカスかテラを飲む。たしかに熱くなった体をクールダウンさせてくれるような気になる。しかし4%~4.5%のアルコール度数はあるわけで、やはり酒に強い韓国人体質を教えられる。
焼肉店のテーブルを見ると、数人で、ずらりとカスやテラを並べているグループをよく目にする。ソジュ1本でチェイサービールが2~3本といった割合だろうか。
しかし韓国人の酒の飲み方が少しずつ変わってきている。そこには韓国で花開いたカフェ文化も影響しているように思う。
ソジュを飲む若者が減ってきているのだ。韓国国税庁の調べでは、2019年のソジュの出荷量は91万5596キロリットルだったが、2023年は84万4250キロリットル。8%減っている。そもそもソジュのアルコール度数も減っている。かつては35%だったが、最近では16.5%が主流になってきている。
ソジュ離れである。もはやソジュは「おじさんの酒」になりつつある。