主演・監督作の『劇映画 孤独のグルメ』が韓国でも話題を集めている松重豊と、人気歌手ソン・シギョンが出演するNetflix食べ歩き対談番組『隣の国のグルメイト』。第6話で興味深かったのは、ソン・シギョンの日本ラーメン観と、松重豊が話していた20代の頃の中華料理店でのアルバイト経験だった。(以下、一部ネタバレを含みます)

■Netflix『隣の国のグルメイト』で語られた韓国人のラーメン観

『隣の国のグルメイト』6話は、松重豊が下積み時代にアルバイトしていた東京・下北沢の老舗中華料理店でソン・シギョンと対談するというユニークな設定だった。

「濃厚過ぎる豚骨ラーメンや食べなれない味噌ラーメン(と出合うと)、韓国人はびっくりするんです」

 醤油ラーメンを食べているときのソン・シギョンのこの言葉で、かつての韓国人の日本ラーメン観を思い出した。

 2010年以前、今ほど日本旅行が一般的ではなかった頃、豚骨ラーメンのスープの匂いに抵抗を感じる韓国人は少なくなかった。筆者もその一人だ。

 韓国にも豚骨スープのテジクッパがあるじゃないかと言われそうだが、テジクッパは今でこそ全国区になったが、以前は釜山慶尚道の一部で食べられていたローカルフードに過ぎなかった。しかし、慣れとは恐ろしいもので、今どきの韓国の若者は日本の人気店「一蘭」や家系ラーメンにほとんど抵抗がないようだ。

 一方、味噌ラーメンは、テンジャンやコチュジャンなどの味噌を使った料理を食べ慣れている韓国人には親和性が高いのではと思われそうだが、店によってはスープが甘いので、かつては受け入れにくい人が多かったと思う。

 韓国のテンジャンやコチュジャン系の食べ物で甘さが立っているものは多いとは言えない。トッポッキは甘いが、その分唐辛子を多く使っているのでトータルな印象は辛い。例外はチュンジャン(甜面醤系の黒味噌)を使ったチャジャンミョンくらいだろう。

 今でこそ韓国人は日本の食に慣れてきたが、20年ほど前は店でラーメンを頼んでもキムチが添えられないのを残念に思う人が多かった。味噌ラーメンのような少し甘いスープや豚骨のように脂っこいスープには、口をすっきりさせる(韓国人の辛味に対する感覚)漬物が必須なのだ。

日本で「家系」と呼ばれる豚骨醤油系ラーメン、最近は日本を訪れる韓国人にも人気
韓国式中華の代表的な料理チャジャンミョン