Netflix人気グルメ番組『隣の国のグルメイト』10話では、松重豊と歌手ソン・シギョンが韓国から再び日本に舞台を移し、山口県下関市の唐戸(からと)市場で寿司や天ぷら、魚汁などを食べ歩いた。以前、釜山に取材で滞在中、フェリーで下関を訪れたことがある韓国人筆者が、本作10話の見どころとフェリー旅の魅力をお伝えする。
■Netflix『隣の国のグルメイト』下関・唐戸市場で甘い味噌汁に「?」となったソン・シギョン
唐戸市場は韓国の市場と比べると整然としていて、筆者には市場と言うよりコンベンションホールのように見えた。日本人は韓国のごちゃごちゃした市場に魅力を感じるようだが、多くの韓国人にとっては見慣れた光景なので特別な感慨を覚える人は少ない。むしろ、すっきりと明るい唐戸市場に「さすが日本。市場まできれいだ」と感心する人が多いだろう。


興味深かったのは、ソン・シギョンが麦味噌を使ったフグ汁やカニ汁を口にして、「甘い」と言ったことだ。韓国人は汁物と言えばキムチチゲやユッケジャンのような唐辛子の効いた刺激的なものか、プゴクッ(干し鱈のスープ)や平壌冷麺のようなあっさりしたものに慣れているので、正直、彼は戸惑ったと思う。「甘い」のあとに「旨い」という言葉は出てこなかった。これは日本の甘い味噌ラーメンを食べたときの韓国人の微妙な反応に通じるものがある。

韓国にもフグ料理専門店はある。釜山の海雲台にある「クムスポックッ」は2024年にミシュランにも選定されている。フグ汁は唐辛子を使わないマルグンタン(日本のフグチリ風)と唐辛子で真っ赤なメウンタンの二種類。家族やグループ客は両方頼むことが多いようだ。
