6月12日、韓国の公正取引委員会は、大韓航空が提出したアシアナ航空のマイルの統合案を承認しなかった。アシアナ航空のマイルを貯めていた人が不利になることがその理由である。現地メディアは、統合が遅れる可能性があると報じている。アシアナ航空のマイルを大韓航空に移すことには、いくつかの障壁があるといわれていた。マイルは統合の足枷である。
今後、両者の統合にはさまざまな問題が噴出するだろうが、比較的早く発表され、すんなりと受け入れられたことがあった。仁川国際空港での利用ターミナルの統合だった。
■アシアナ航空が大韓航空に統合されると、仁川空港の利用ターミナルはどうなる?
仁川国際空港の第1ターミナルと第2ターミナルを舞台にした韓国ドラマには、『輝く星のターミナル』がある。空港の旅客サービスチームで働くイ・スヨン(イ・ジェフン)とヨルム(チェ・スビン)を軸に、仁川国際空港を舞台にしたストーリーだ。ストーリーのなかには第1ターミナルから第2ターミナルへの異動の話もある。
現在、大韓航空は第2ターミナル、アシアナ航空は第1ターミナルを利用している。統合後は第2ターミナルに集まることになる。
仁川国際空港の第1ターミナルは2001年の開港。第2ターミナルは2018年にオープンした。利用者数は第1ターミナルのほうが多い。2024年の11月、第1ターミナルの1日平均利用者は13万2000人。対して第2ターミナルは6万6000人。かなり差がある。
世界の空港ターミナルは、アライアンス(航空会社連合)の影響を受けている。スターアライアンス、スカイチーム、ワンワールドが三大アライアンスである。日本の成田国際空港をみると、第1ターミナルはスターアライアンスに加盟する航空会社が中心で、第2ターミナルがそれ以外のアライアンスの航空会社などが利用している。
アライアンスの機能はいくつかある。コードシェア、遅延・欠航時の振り替え、マイルの相互利用、乗り継ぎ手つづきの簡素化、ラウンジの共有などだろうか。僕も振り替えサービスの恩恵をときどき受ける。
たとえばバンコク発ソウル。アシアナ航空便の出発が遅れる場合、ほぼ同じ時刻に運航しているタイ国際航空に振り替えられる。両者はスターアライアンスという同じアライアンスに属しているからだ。ターミナルの利用航空会社をアライアンス別に分けるのはさまざまなサービスを効率よく行うためだ。
仁川国際空港もアライアンスで分かれている。第2ターミナルを利用している主な航空会社は大韓航空、デルタ航空、チャイナエアライン、エールフランス、KLMオランダ航空、ガルーダ・インドネシア航空などだ。どこもスカイチームに属している。LCCでは大韓航空の子会社のジンエアーが利用している。
それ以外の航空会社は大方、第1ターミナルを利用している。スカイチーム以外の航空会社のほとんどが第1ターミナルといった様相で、利用客が多く、出入国審査やセキュリティチェックが混みあうことでも知られていた。到着便が重なってしまったときなど入国審査ブースの前には幾重もの列ができる。飛行機が到着し、通路を進んで入国審査ブースに近づく。長い列を見たとき、「これは30分以上かかるな」と呟くことはしばしばある。
大韓航空とアシアナ航空の統合手つづきが終われば、アシアナ航空はごっそりと第2ターミナルに移ることになる。すんなり受け入れられたのは、第1ターミナルの混雑が緩和されるからだったようだ。2026年の早い時期にこの移転は行われるといわれているが。
