■『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』登場人物が異動を命じられた鬱陵島とは?

 『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』には、主人公のナクスと同期入社のホ・テファン(イ・ソファン/『瑞草洞』『イカゲーム2』)が登場する。仕事で成果を上げられないテファンは、ずっと営業担当だったにもかかわらず、鬱陵島(ウルルンド)での設備工事担当への異動を命じられ、ナクスに泣きつく。しかし、ナクスもどうすることもできず、テファンは、失意のあまりとんでもない行動をとる。

 韓国中東部・慶尚北道に属する鬱陵島は、浦項(ポハン)から東へ約217キロ、フェリーで3時間~3時間半を要する離島だ。

 人口約8,800人の鬱陵島には、年間40万人近くもの観光客が訪れる。

鬱陵島の東海岸にある苧洞(チョドン)港の周辺では、開いたイカを干す光景を見ることができる

 島を一周する沿岸道路以外に平地がほとんどなく、急勾配の斜面を切り開いて畑を作っているため、農作業に必要な備品を運ぶモノレールが整備されている。劇中、「(通信)ケーブル区間は78%が地下だ」というセリフがあるが、島特有の地形が平地に比べ、農作業や通信網の整備などに多大な労力を要する一因となっているようだ。

 その一方で、美しい海はもちろん、海岸沿いに見られるモグラ岩やコウモリ岩など、奇岩怪石の数々、地下からの冷たい空気が吹きあがる風穴、火山の噴火口である盆地など、手つかずの自然が残されている。

 また、鮮度抜群のイカの内臓を使ったスープや、フジツボ入りのカルグクス、薬草をえさに育てた薬牛(ヤクソ)と呼ばれる韓牛や鬱陵島でしか採取できない山菜など、この島ならではのグルメも満載で、3時間以上船に揺られてでも、一度は訪れる価値がある島だ。

天然ムール貝の炊き込みご飯とともに並ぶパンチャン(おかず)には鬱陵島ならではの山菜料理が多い

●鬱陵島へのアクセス

 江原特別自治道・江陵港、墨湖港、慶尚北道・厚浦港、浦項港の各旅客ターミナルから鬱陵島までフェリーで約3時間~3時間半