Netflix人気バラエティ隣の国のグルメイト』シーズン4の8話は、バラード歌手ソン・シギョンが『孤独のグルメ』の松重豊をソウルの鷺梁津(ノリャンジン)水産市場へ案内した。

 二人で生け簀を見ながら魚を選び、上階の食堂で刺身にしてもらう。韓国式刺身を嬉々として食べるソン・シギョンと、ややとまどい気味に食べる松重豊。韓日の魚食文化の違いが鮮明になる場面の連続で、大変興味深かった。

■韓日の魚食文化の違いとは? 韓国の活魚志向、日本の熟成志向

 同じ海を挟んで隣り合う日本と韓国。獲れる魚の種類もほとんど同じなのだが、食べ方には大きな違いがある。

 ソン・シギョンが説明していたように、韓国人は味が淡白な活魚志向が強く、噛み味や歯ごたえを大事にする。

 また、ワサビ醤油でも食べるが、チョジャン(酢+コチュジャン)やサムジャンテンジャンやコチュジャンに甘味や香味野菜などを加えた合わせ味噌)、タデギ(唐辛子ベースの万能調味料)で食べる人のほうが多そうだ。マグロやブリなど赤身魚の場合は、ゴマ油+塩で食べる人も珍しくない。

 一方、日本人は水揚げした魚を一定時間熟成させて、旨味を最大限に引き出してから食べる。ワサビ醤油につけて食べるのが普通だが、最近は旨味を生かすために、塩だけをつけて食べることもある。

モンゲ(ホヤ)の刺身(左下)。『隣の国のグルメイト』で松重豊も食べていた
冬の季節のおすすめはブリの刺身
活魚志向の強い韓国では店頭に生け簀を置く刺身屋が多い

■韓国では刺身を焼肉のように葉野菜で巻いて食べる

 しかし、日本との最大の違いは、韓国では刺身をサムして(葉野菜で包んで)焼肉のように食べることだ。韓国人にとって魚は牛や豚などと同じ動物の肉なのである。

 筆者が初めて刺身をサムして食べたのは1990年、ソウルからセマウル号で4時間以上かけて行った釜山でのことだった。

 同席した韓国人にサムをすすめられ、サンチュを手渡されたときは、鍋物ならまだしも、生野菜といっしょに刺身を食べることに大いに困惑した。ただサンチュで巻くだけではない。合わせ味噌を入れろ、生ニンニクや唐辛子を入れろと言われたときは本当に驚いた。これでは刺身の味どころか、何を食べているかわからないではないか。

『隣の国のグルメイト』でも、松重豊は「こんな食べ方したことないなあ」と言いながら刺身をサムして食べ、「うん」と言ったきりコメントを控えていたが、その気持ちは本当によくわかる。

 初体験時の筆者も、案じた通り口中は複雑で、感想は刺身を食べているというより、「茹でエビ、レタス、キュウリ、パクチー、ビーフンなどをライスペーパーで巻いて食べるベトナムの生春巻きを思い出す」であった。

白身魚に合わせ味噌とワサビ、生ニンニクを添え、エゴマの葉とサンチュで包んで食べる韓国式刺身