ソウルを訪れる日本人にとって、人気の街は明洞から江南に移りつつあった。僕はその理由をショッピングやグルメかと思っていた。しかし、江南エリアで次々に登場する日本語のクリニック名を見たとき、日本人が江南に集まるようになったもうひとつの理由がわかったような気がした。
■江南エリアが日本人に人気の理由、ショッピング、グルメ、美容クリニック
たしかに江南のショッピングは充実していた。江南大路に沿って並ぶ高級店。しかしそこから地下におりると、庶民派の小さな店が詰まった商店街がある。そこでは宝物探しのような買い物ができる。
食事は江南駅の隣にあるシンノンヒョン(新論●、●の漢字は「山」へんに「見」)駅周辺だった。江南のオフィスで働くソウルの人たちが集まる一帯で、明洞のように外国人観光客はあまり意識していなかった。
ソウルを訪ねる日本人はリピーターも多い。韓国料理にも詳しくなっている。そんな人たちにしたら、ソウル初心者に照準を合わせた明洞は物足りない。しかしシンノンヒョン駅周辺の店は、ソウルのサラリーマンにセッティングされている。韓国リピーターには手応えがあるだろう。
しかし江南人気を押しあげていた3番目の理由。それはクリニックの密度だった。クリニックはそのほとんどが美容系だった。一般的なクリニックもあるのだろうが、日本語でクリニック名を書いているところは、ほとんどが美容系だった。
日本人にとってのソウルの人気はコスメという時代が長くつづいた。その中心が明洞のコスメショップだった。いまでも韓国コスメ人気は健在だが、それを凌駕するように美容系クリニックの話題がネットの世界を埋めるようになった。そこで江南の名前が頻繁に出るようになる。コスメから美容系クリニック……それが明洞から江南へという流れのようにも受けとれる。
日本人の目に江南は美容系クリニックの密集地に映るように、ソウルの人の間でも美容整形に結びつける人もいる。そんなイメージが生んだ韓国ドラマは、『私のIDはカンナム美人』だろうか。容姿でいじめに遭って育った女性が、大学進学を景気に美容整形を受け、人生を歩みはじめるラブコメディーだ。イム・スヒャン、チャウヌ(ASTRO)、チョ・ウリ、クァク・ドンヨンらが出演している。

