店に入ったとたん、一瞬、足が止まった。サラリーマンで埋まったテーブルという想像は一気に裏切られてしまった。よく見ると、なかには若い女性やサラリーマンもいる。しかし7割以上は老人、シニアだったのだ。ふたりでテーブルに座る老夫婦やシニアの女性グループもいた。

 韓国ドラマでも、シニアたちが主人公になるドラマは少なくない。高齢化は日本同様に韓国でも進んでいる。『ディア・マイ・フレンズ』はシニア世代の友情、そして人生を描くヒューマンストーリーだ。韓国のベテラン女優がそろったキャスティングが話題にもなった。キム・ヘジャユン・ヨジョン、ナ・二ム、コ・ドゥシムらが出演している。

 同行した知人がレジにいた主人らしき人に訊いてくれた。

「昔からシニアは多いですよ。ここは鐘路だからね。うちは昼だけじゃなくて夜までやってます。夕食に使ってくれる人も多い。ここに仲間で集まって食事をするのを楽しみにしているシニアは多いんです」

 見ると焼酎(ソジュ)を飲みながら食事をしているグループもいた。シニアたちの社交場の雰囲気だ。そこに混じって周辺で働く人たちが席を埋める。

 料金は1万ウォン。レジには日替わりのメニューが書かれていた。

「これはその日の目玉メニュー。今日は魚の唐揚げです。あまりたくさん食べられるとなくなってしまうので、数を制限させてもらっていますけど」

 店はそこそこの広さで、壁際に料理のトレーが並んでいる。店員ができあがった料理を運び、補充している。

 メニューは豊富だった。野菜を中心にした炒め物、揚げ物、スープ、サラダコーナー、そして魚揚げ……。なぜかフレンチトーストもある。その先には豆腐コーナー、そばまであった。

(つづく)

ビュッフェの料理はこんな感じで並べられていた