鍋を眺めたが、下に沈んでいるのか、トックがみつからない。表面に見えるのは、餃子、インスタント麺、野菜……。色はいくぶん違うが、インスタント麺を入れたときのブテチゲに似ている。ブテチゲというのは、肉や野菜、キムチのほかにスパムも入れる鍋料理だ。途中でインスタント麺を入れることが多い。
最初に餃子をすくって食べてみた。適度な辛さがからまり、新しい味の水餃子といった感じだ。練り物もスープの味とうまく合っている。なかなかバランスがとれた鍋料理だと思った。
しかし気になるのがトックである。これはトッポッキ鍋だから、トックがメインかと思っていたが、その姿が見当たらないのだ。餃子やインスタント麺のほうが目立っている。餃子鍋といわれたほうがしっくりくる。
トングを入れて探してみた。あった。
しかしなかに入っていたトックは数本だけだった。それをつまんで口に運ぶ。さまざまな味が混ざったスープだから、地下鉄駅通路のトッポッキ店のそれより味に深みがある。
韓国人の知人は満足げに、味をかみしめるように食べている。心が満たされていく……そんな顔つきだった。子供のときからトッポッキに親しまないと、この表情にはならない気がした。しかしトックの量が少ない。ここでもその存在感は薄かった。

