Netflix配信の話題作『フォーハンズ~2人のソナタ~』は二人の天才ピアニストの物語だ。『わかっていても』『Sweet Home-俺と世界の絶望-』のソン・ガン扮するビオは芸術高校に通い、将来を嘱望されているが、自らの境遇と才能の限界に悩んでいる。いっぽう、『おつかれさま』『新入社員カン社長』のイ・ジュニョンU-KISS)扮するジョンヨは、古びた雑居ビルに住み、老いた父の介護をしながら普通高校に通っている。(以下、一部ネタバレを含みます)

■『フォーハンズ~2人のソナタ~』韓国の格差社会を象徴する二人の立場

 ビオには父親こそいないものの、母(ユン・セア)や、世界的な指揮者である祖父(チョン・ジニョン)と豪邸に住み、音楽や美術のエリートを育てる芸術高校(略称:芸高=イェゴ)に通っている。

 韓国では極端なSKY(超一流大学群)志向を解消し、エキスパートを育成するため、十数年前から高校の専門化が進められている。

 ビオが通っている芸術高校もそのひとつだ。専門化高校の分野は音楽、美術、体育、映像、語学、IT、半導体など多岐に渡っている。

ソウルの陽川区にあるソウル映像高等学校
ソウル映像高校の校舎内にある撮影実習スタジオ

 一方、ジョンヨは父が借金をしている闇金事務所でバイトし、ソウル旧市街中心部、鐘路3街(チョンノサムガ)にある築60年近い雑居ビル、楽園商街(ナグォンサンガ/楽園楽器商街)に父と住んでいる。

 楽園商街のビルは日本の旅行者にもおなじみの仁寺洞(インサドン)エリアと鐘路3街エリアの境界に位置している。

 1階部分を貫く車道を東に抜けたところには屋台がズラリと並ぶポジャンマチャ街が、ビル東側南端の脇道にはスンデクッパテジクッパ横丁が、そして、ビルの地下にはククスや酒のつまみなどが安く食べられる市場があるので、見たことのある人も多いはずだ。

南側から見た楽園商街ビル
楽園商街ビルの東側は人気の屋台街