人気俳優キム・ジウォンが主演する韓国ドラマ『ドクターX ~白衣のマフィア~』がNetflixの世界ランキングで2週連続1位(非英語シリーズ部門)を記録している。本作は、日本の大ヒット医療ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』の韓国版リメイクで、フリーランスの天才女性外科医が腐敗した大学病院の権力構造にメスを入れる痛快な物語だ。
■『涙の女王』キム・ジウォン主演、韓国版『ドクターX』絶好調!名セリフ「私、失敗しないので」「いたしません」は踏襲
『ドクターX ~白衣のマフィア~』は韓国ではSBSで金曜と土曜夜に放送中で、10月9日放送の初回視聴率は11.4%、17日放送の第4話は18.5%と大幅に上昇し、20%突破が迫っている。社会現象化しつつある同ドラマの魅力とは何なのか。
本作は、米倉涼子が主演した日本のドラマ『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』シリーズのリメイク作のため類似点が多い。
天才的な腕で困難な外科手術を次々と成功させる主人公のケ・スジョン(キム・ジウォン)は、“手術室の狂犬”と呼ばれている。「私、失敗しないので」「いたしません」などの決まり文句、手術後にコップ1杯のガムシロップをがぶ飲みする、他者とは決して群れない一匹狼ぶり、歯に衣着せぬ医療権力者への批判などは、日本版と同じである。
だが、日本版が「御意」といった言葉で代表される時代劇コメディー調だったのに対し、韓国版は『白衣のマフィア』という副題から分かる通り、医療界にはびこる権力構造の闇やサスペンス的な要素を強調する、ノワール的なストーリーに再構成されている。
■肝臓にイニシャルの“刻印”は英国で実際に起こった怪事件を題材に
当初は日本版の原作に概ね沿ったストーリーだったが、第3話から韓国版らしいオリジナルな展開が始まっている。特に第4話では背筋が凍る悪魔の手術が登場した。
Netflixヒット作『素晴らしき新世界』(2026年)での悪役で話題を集めたチャン・スンジョが、大学病院に新たに赴任した外科教授ナ・デイル役で特別出演。ナ・デイルは過去に製薬会社社員の開腹手術を行ったが、その際、肝臓の表面に自身の名前のイニシャルを意味する「D.N」の刻印をしたことがケ・スジョンによって発見されたのだ。
優しそうな風貌の外科医ナ・デイルが患者の臓器に自分の“落書き”を残すような悪魔の医師だったことが明らかになり視聴者は戦慄に包まれた。
実はこの描写は、2013年に英国の医療界で実際に起こった猟奇的な事件を題材にしている。英国の外科医が臓器移植の手術中に、患者2人の肝臓の表面にアルゴンビーム機器を照射して、自分のイニシャルの「刻印」を入れていたことが暴露され摘発された。医師の傲慢な態度を改めて劇中で告発するシーンは、韓国版ならではのリアルな手法だ。
不敵な笑みを浮かべるナ・デイルを懲らしめるケ・スジョンの怒りは、ドラマ前半の大きな見せ場となるだろう。ちなみに『素晴らしき新世界』でチャン・スンジョ扮する建設会社社長は、肝臓病を患う叔父に自身の肝臓を移植したことで厚い信頼を勝ち取る、という役柄を演じていた。“肝臓”繋がりは偶然かもしれないが、同じSBSの金土曜ドラマという共通点があることから、スタッフの計算尽くの演出かもしれない。
■主演キム・ジウォンは“カメレオン俳優”、作品ごとに全く異なる顔
端正なビジュアルと卓越した演技力で知られるキム・ジウォンは作品ごとに全く異なる顔を見せるため「カメレオン俳優」として、現在の韓国ドラマ界でトップクラスの評価を確立している。
『相続者たち』(2013年) で高慢な財閥令嬢役を演じて頭角を現し、SBS演技大賞ニュースター賞を受賞。『太陽の末裔 Love Under The Sun』(2016年) では、一途で芯の強い女性軍医を演じて大きな人気を獲得した。一方、パク・ソジュン主演『サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~』(2017年)では、前作までのエリート役から一転し、アナウンサーを夢見るヒロインをコミカルに演じ視聴者を魅了した。
ソン・ソック共演の『私の解放日誌』(2022年)では、地味で言葉の少ない会社員役を深みのある内省的な演技で見せ、「百想芸術大賞」の女性最優秀演技賞にノミネート。そして世界的に大ヒットしたキム・スヒョン主演『涙の女王』(2024年)では、傲慢に見えながらも孤独の影を秘めたヒロインの財閥令嬢を演じ、グローバルスターの座を得た。