Netflix『隣の国のグルメイト』シーズン7、済州道(チェジュド)編5回目の舞台は、済州島北部の西端、涯月(エウォル)の閑静な森の中にあるベーカリーカフェ。ドイツで学んだスタッフのいる店で、歌手ソン・シギョンが一人、パンとコーヒーを味わった。
■1990年代、日本の製菓・製パン学校で学んだ韓国人留学生
「ひと昔前、韓国のピザやパンは日本のそれにかなわなかった。日本で食べると『うわあ、何これ!?』っていつも感嘆していた。でも今は韓国も日本に追いついたと思う。最近、日本の人が韓国のパンは美味しいって言うようになった。これは感動であり驚きでもある。長く生きていてこそ(長期的にものを見てこそ)わかることだね」
『隣の国のグルメイト』番組内のソン・シギョンのこの言葉で筆者が思い出したのは、1990年代前半、都内の飲食店でアルバイトをしていた韓国人留学生たちだ。
韓流熱風が吹き荒れる十年ほど前、日本で出会える韓国の人たちといえば、飲食店でバイトする留学生くらいだった。当時は韓国における日本語需要が今よりもずっとあったので、日本語を身につけて本国で生かそうという若者が多かったのだ。
そして、これは少々意外だったのだが、日本の専門学校で製菓や製パンを学ぶ若者たちともよく出会った。なぜ日本で製菓? 製パン? と思ったのだが、当時のアジアで飲食文化の西洋的洗練が進んでいたのは断然日本だったのだ。
■今は日本人が韓国旅行でベーカリー巡りを楽しみにする時代に
2002年の日韓ワールドカップや2003年以降の韓国ドラマやK-POPブームを経て、日本人の訪韓機会が激増した頃、ソウルや釜山で個人経営の洒落たカフェやベーカリーの店主と話をすると、彼らには日本で学んだ人たちが多く、合点がいった。
また、2005年には製菓職人が主人公(キム・ソナ)のドラマ『私の名前はキム・サムスン』、2007年にはカフェで働く男子が主人公(コン・ユ)のドラマ『コーヒープリンス1号店』、2010年にはパン職人が主人公(ユン・シユン)のドラマ『製パン王 キム・タック』がヒットするなど、製菓店やカフェ、ベーカリーが魅力的な職場としてクローズアップされた。