韓国の食堂でテーブルにつくと、メインの料理を注文する前にテーブルに並ぶ小皿のおかず(おかず=韓国語で반찬/パンチャン)。
この小皿料理、お代わりができる、できない?……という迷路に入ってしまった話をつづけてきた。今回で3回目だ。
小皿料理のお代わり問題は、なかなか奥深い世界で、ただただ経験を積んでいくしかない領域だった。しかしその世界の雲行きが、コロナ禍を経て、少し危うくなってきているようだった。
■ソウルの飲食店、小皿の数が少なくなった!?
3年ぶりにソウルを訪ねた。ソウル在住の知人とテーブルを囲む。江南のチヂミ料理が有名な店に入った。メニューを眺め、
「タラの入ったチヂミはどう?」
などと話していると、店員が小皿をお盆に載せて運んできた。カクテキとイワシを炒めた料理が載った小皿がふたつ置かれただけだった。
「少なくない?」
つい、口をついてこの言葉が出てしまった。
「そうなんです。ここはチヂミはおいしいんだけど、昔から小皿は少な目だった。それがコロナでもっと減っちゃったみたい」
知人がつづけた。
そしてこの店はかなり寒かった。6時の開店と聞いて6時少しすぎに店に着いたが、ドアは開いていなかった。しばらく待つと、オーナーが姿をみせて、慌ててドアを開けた。それから暖房……。店内が暖まるまで時間がかかる。路上にはマイナス15度の寒風が吹いていた。
帰り際、知人が聞いたところによると、オーナーは昼間、別の店で雇われ店長として働いているという。そうでもしないと、コロナ禍で膨らんだ借金を返すことが難しいようだった。