■釜山港、再び。パンスタードリーム号で大阪へ

 ソウルで5日間を過ごし、疲れ切った肝臓をなだめながら空港鉄道で金浦空港に向かう。久しぶりに韓国の国内線に乗って釜山に戻るのだ。

 金海空港から電車を乗り継いで釜山駅に着き、釜山港国際旅客ターミナルまで歩いて行くと、出国手続きが始まるところだった。

金浦空港の国内線出発ロビー
釜山駅から釜山港国際旅客ターミナル(右)を結ぶ歩道橋からの眺め
釜山港国際旅客ターミナルの免税店はまだ半分しか営業していなかったが、2022年に『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で大ブレイクしたパク・ウンビン高麗人参の立て看板がひときわ目立っていた

 一週間前に釜山に来るとき、大阪からいっしょに船に乗り込んだ友人N氏は数日前、先に飛行機で帰国していたので、帰りは一人だ。友人たちの待つ大阪の夜に備え、今夜は休肝である。

 釜山~下関、釜山~対馬など、韓~日の船旅は何度か経験しているが、乗るたびに空の旅にはない独特の高揚感を味わえる。『シスターズ』でこのターミナルから船に乗った女子高校生イネ(パク・ジフ)とヒョリン(チョン・チェウン)とまったく同じ気持ちである。

パンスタードリーム号の甲板から釜山港に別れを告げる
釜山港を離れ、大阪南港を目指すパンスタードリーム号

 船室では、KBS2 月火ドラマ『頭脳共助』の、いっこうに年を取らないチャ・テヒョン、ドラマ『エージェントなお仕事』でギラっと光って見せたクァク・ソニョンホン・サンス映画でおなじみのイェ・ジウォンの演技を、観るとはなしに観て過ごす。

 そのあと、映画『チョン・ウチ 時空道士』でキム・ユンソクカン・ドンウォンらのアクションを眺めているうちにいつの間にか眠ってしまった。

 翌朝は船内のサウナで汗を流した後、船首の甲板に出て風を浴びる。遠くにぼんやりと大阪の街が見えて来た。

「テバンイダ~!(大阪だ~!)」

 昨年亡くなった崔洋一監督の映画『血と骨』の冒頭、1923年に君が代丸で大阪にやってきた済州の人たちの歓声を思い出す。

瀬戸内海をゆっくり航行したパンスタードリーム号の船首から大阪の街を望む

(つづく)