■2023年の韓国再発見!ソウル世運商街の両脇エリア、市場の食堂
●ソウルど真ん中のデイープゾーンは健在
今回、乙支路3街の『満船HOF』本店と清渓川の間のブロックが再開発工事のために囲われ、思い出が詰まったなじみの店が消えたかどうかの確認すらできなかったのは本当に残念だった。
それでも、ここから200メートルほど東にある世運商街の両脇には、平屋の町工場密集地帯が健在だった。明洞の最寄駅から1駅ちょっとのところである。
「西洋的な洗練とアジア的な猥雑さがまだらになっているところがソウルの魅力」と、たびたび言っているが、ソウル旧市街のど真ん中に、油にまみれて働く者たちの空間が残っているのはうれしい。韓国の発展はサムスンやLGだけがけん引してきたわけではないのだ。
世運商街の屋上に立つと、ソン・ジュンギ主演ドラマ『ヴィンチェンツォ』やキム・ゴウン主演ドラマ『シスターズ』、イ・ジョンジン主演映画『嘆きのピエタ』を思い出す。いずれも格差社会を背景とした殺伐とした物語だったが、町工場の細い路地にコーヒーの出前をするお姉さんの姿を見つけ、ホッとする。
●物価は高騰したが、抜け道はある
昼どき、こぎれいな食堂でペクパン(日替わり定食)を頼むと7000ウォンは下らなくなった。しかも副菜はそれほど多くない。他国の物価高を嘆いてもどうしようもないが、釜山でもソウルでも観光客の行かない市場メシは割安だ。
チョン・ヘイン主演映画『ユ・ヨルの音楽アルバム』に登場した鍾路3街の楽園地下市場や、チョン・ウソン&ファン・ジョンミン主演映画『アシュラ』に登場した瀛州(ヨンジュ)市場のようなところには、普通に美味しく、安さと風情の両立した店がまだまだある。