エアプレミアはチェジュ航空の会長だったキム・ジョンチュル氏がつくった。就航はコロナ禍がふきあれていた2021年。ソウルと東京を結ぶ路線には2022年に就航している。コロナ禍がおさまりかけた時期だった。現在、東京以外ではフランクフルト、ニューヨーク、バンコク、ロサンゼルス、ホーチミンシティに就航している。
ソウルー東京間は、就航がはじまってから人気が高まりつつある。その理由を総合すると、次の3点になる。
1)大韓航空やアシアナ航空より東京路線で常に10万ウオン(約1万1000円)は安い。
これはいままでFSCに乗っていた人の評価。座席幅はFSC並みに広い。同じような機内ならエアプレミアでもいいという評価が生まれた。
2)機内食が無料
ソウルー東京間は2時間半ほどと短いフライトのため、パン類の軽食とコーヒーが無料。ヨーロッパやアメリカ路線では、FSC並みの機内食が無料でつく。預ける荷物は選ぶクラスによって違うが、15キロ程度までは基本的に無料。
3)サービスがFSC風
LCCは機内に持ち込む荷物制限や預ける荷物の重さなど、なにかとチェックが厳しい。運賃を安くするためのルールを守るという空気は、ときにストレスを生む。それに比べると、エアプレミアはストレスが少ない。
こんな理由からエアプレミアへの食指が動いたようだ。FSC派とLCC派の両側から乗客を集めていったことになる。とにかく価格優先という旅行者はLCCになるが、資金に少し余裕があるシニア層や、FSCはちょっと高いと感じていた中間層の感性にフィットした。
いまエアプレミアのソウルー東京間は1日1往復対応で週5便体制になっている。韓国の航空業界のなかでは、まもなく毎日運航になるのでは……と噂されている。それなりの集客を維持しているということなのだろう。
日本の航空会社のなかでは、スカイマーク、ソラシドエア、エア・ドゥ、スターフライヤーがMCCをめざしているという。しかし運賃やサービスをみても、LCCと大差がない。構造的にエアプレミアのような完全なMCCになるのは難しいのではないかといわれている。