パク・ヒョンシク&パク・シネ主演のNetflix人気作『ドクタースランプ』が最終回を迎え、ロスに陥っているファンも多いだろう。
最終回には、ハヌル(パク・シネ)の叔父テソン(ヒョン・ボンシク)が営んでいるミルミョン(釜山発祥の冷麺)店で、初恋の女性と再会するシーンがあった。その女性は釜山を旅行中、偶然出会ったテソンから、テジクッパやナッコプセなどの釜山料理を教わったという。
春の旅行シーズンを控え、今回は『ドクタースランプ』に因んだ釜山の名物グルメを紹介しよう。
■釜山の人が愛するテジクッパ(豚骨・豚肉の汁かけ飯)
テジクッパの「テジ」は「豚」、「クッ」は「汁もの」、「パ(プ)」は「ごはん」のこと。豚骨、豚肉、豚モツを煮込んだスープをごはんにかけ、豚肉やネギを入れたものだ。
日本の人にもよく知られているソルロンタン(牛肉牛骨の汁かけ飯)の豚バージョンと言えばイメージしやすいだろう。
釜山を中心とした慶尚道で食べられているが、ソウル鐘路3街の楽園商街ビルの脇のクッパ専門店街でも食べられる。
その発祥には諸説があるが、朝鮮戦争時、北側からの避難民がもたらしたものという説が有力だ。北側で食べられていた牛肉のスープや豚の腸詰を避難先の釜山で再現しようとしたが、食糧難で牛肉の入手は困難。腸詰は手間がかかるので豚肉で代用したというわけだ。
釜山人のテジクッパ愛が伝わる映画がある。ソン・ガンホが弁護士時代のノ・ムヒョンを演じた『弁護人』だ。劇中、何かというとテジクッパの店に行き、他のものが食べたそうな同僚の顔色など意にも介さず、「ニラをたくさん入れると旨いぞ」と悦に入るシーンがあった。ソン・ガンホ自身が釜山文化圏の金海(キメ)で生まれ育っているだけに説得力がある。
■『孤独のグルメ』にも登場したナッコプセ(手長ダコと牛モツとシュリンプの鍋)
「ナッ(チ)」は「手長ダコ」、「コプ(チャン)」は「牛モツ」、「セ(ウ)」は「エビ」のこと。ナッコプセは、この3つを甘辛く炒め煮したものだ。
手長ダコ炒め煮の発祥といわれる凡川洞の「元祖ハルメナクチ」では、バリエーションのひとつとして、この組み合わせを出していた。ナッコプセという名が日本で浸透したのは、2019年に放送された『孤独のグルメ』釜山出張編の影響が大きいかもしれない。
韓国人ならソジュのつまみにしたくなる味だ。残り汁にごはんを入れたり、うどんを入れたりしてもよい。