■刺身にはソジュ!?
20年くらい前までは、日本の人に韓国式の刺身の食べ方を説明すると、とまどう人が多かった。四方を海に囲まれた日本が刺身先進国であることに異論はないが、韓国の刺身と日本の刺身は違う食べ物だと思ったほうがいい。
韓国人にとって生の魚は「海の肉」なので、焼肉のようにサムジャン(合わせ味噌)や生ニンニク、ゴマ油を加えて、エゴマの葉やサンチュで巻いて食べるものなのだ。最近はそれが日本の人にも理解されてきて、新大久保など日本のコリアンタウンでも韓国式刺身専門店は人気があるようだ。
日本人なら刺身には日本酒なのだろうが、韓国の刺身は海鮮プラスアルファの複合味が持ち味なので、やはりソジュでスッキリ流したい。「清河(チョンハ)」という銘柄の日本酒もあるにはあり、刺身に合わせる韓国人も多いが、あれを日本酒だと思って飲むと、たいてい日本の人は失望する。日本酒風の別の酒だと思って飲めば悪くないし、よく冷やせば韓国式刺身にも合う。
■マッコリに合う食べ物は?
『涙の女王』でヒョヌアッパ(チョン・ベス)をはじめとする農村の人々が美味しそうに飲んでいたマッコリは、「農酒」とか「労働酒」という別名があるように、素朴な食べ物が合う。
その最たるものがキムチで、筆者は美味しい白菜キムチがあれば、マッコリを3本は空けられる。
また、揚げ焼きしたジョン(チヂミ)やピンデトック(緑豆粉のジョン)の香ばしさには清涼感のあるマッコリが相性抜群である。
最近、ようやく日本でも愛好家が増えたエイ(ホンオ)料理にもマッコリが欠かせない。筆者が12年前から日本の旅行者対象に行っている「ソウル酒場ツアー」でも、乙支路4街の専門店によく行くので、ぜひリクエストしてもらいたい。