来たる5月5日に開催される韓流エンターテイメント最大の祭典、第61回「百想芸術大賞」の放送部門で最多8部門にノミネートされているドラマ『おつかれさま』。主人公のエスンとグァンシク(IU&パク・ボゴムムン・ソリ&パク・ヘジュン)は、まちがいなく韓国のエンタテインメント史に刻まれるベストカップルになるだろう。

 今回は、日本で韓国の映画が注目され始めた1990年代後半から近年までの韓国映画に登場した「ベストカップル」15組を紹介しよう。前編では「純愛カップル」を取り上げる。

■まっすぐな恋が眩しい!韓国映画「ベストカップル」純愛編

ハン・ソッキュ×シム・ウナ八月のクリスマス』(1998年)

 写真館の主人(ハン・ソッキュ)と違法駐車取り締まり係の女性のほのかな恋物語を描いた『八月のクリスマス』。2013年、ロッテシネマが韓国で「あなたがもう一度観たい映画」を調査したところ本作がダントツ1位になり、同年、韓国全土で再上映された。韓国映画の再上映としては最大規模だった。日本で今、リバイバル上映したら多くの人が劇場に足を運びそうな作品だ。

 ヒロイン役のシム・ウナは芸能界を早々と引退したが、去年還暦を迎えたハン・ソッキュはドラマ『浪漫ドクター キム・サブ』や『こんなに親密な裏切り者(原題)』などで活躍中だ。『こんなに親密な~』は今年の百想芸術大賞の作品賞にノミネート、ハン・ソッキュも男性最優秀演技賞にノミネートされている。

群山市にある『八月のクリスマス』の写真館のセットの中には、場面写真が飾られている

イ・ビョンホン×チョン・ドヨン我が心のオルガン』(1999年)

 ソウルから田舎の学校に赴任してきた若い教師(イ・ビョンホン)に焦がれる、純情田舎娘(チョン・ドヨン『告白の代価』)の「チャクサラン」(韓国語で「片思い」)物語。 

『おつかれさま』の劇中でも触れられていた大ヒットドラマ『オールイン』の以前から、イ・ビョンホンに夢中だった人は、たいていこの映画のファンだろう。歓喜のあまり叫び声を上げる田舎娘の回りをカメラが旋回するシーンは、韓国映画史の特集番組でよく取り上げられる名場面だ。

チャ・テヒョン×チョン・ジヒョン猟奇的な彼女』(2001年)

私の頭の中の消しゴム』に負けないくらい日本のファンが多い作品。チャ・テヒョン(『プロデューサー』『ムービング』)とチョン・ジヒョン(『星から来たあなた』『10人の泥棒たち』)が繰り広げる軽快かつコミカルなロマンス演技は、それ以前の韓国映画の重苦しいイメージを一変させた。

 今観てもスタイリッシュな作品という印象が強いが、24年前の作品なので、携帯電話こそ普及しているものの、ソウルの街並みや飲食店の内外装はまだ垢抜けしておらず、逆にそれが新鮮に映る。

ソン・イェジン×チョン・ウソン『私の頭の中の消しゴム』(2004年)

愛の不時着』のソン・イェジンと、『ソウルの春』のチョン・ウソンが主演カップルを演じた作品。日本でも多くの観客を動員し、2020年にソン・ガンホ主演の『パラサイト 半地下の家族』が公開されるまで、日本で公開された韓国映画の興行収入1位に輝いていた作品だ。

 二人が屋台ソジュのグラスを乾しながら熱いキスに至る場面は、韓国映画でも屈指の飲酒シーンであり、キスシーンだ。