韓国の人気歌手ソン・シギョンと『孤独のグルメ』松重豊が出演する、Netflix日韓グルメバラエティ隣の国のグルメイト』。韓国編の第2弾(8話)には、「平壌冷麺」(スープのある冷やし蕎麦)が登場した。本格的な平壌冷麺を食べたことのない松重豊に対するソン・シギョンの解説が大変丁寧で、とても見応えがあった。

 そこで、今回は平壌冷麺の初心者にも、韓国グルメ通にもおすすめのソウルにある平壌冷麺専門店を紹介しよう。 

■平壌冷麺はどんな食べ物?

 平壌冷麺は、元々は朝鮮半島の北のほうの首都・平壌の食べ物だ。蕎麦粉の割合が多いに、牛肉豚肉鶏肉でダシを取った澄んだスープをかけたもので、トッピングは牛肉や豚肉のスライス、茹で卵、刻みネギなど。韓国料理は赤くて辛いものばかりと思っている人には、見た目も味も新鮮に感じられるはずだ。

 筆者の周囲には、現地で韓国料理を食べ続けて20年以上という人たちが多いのだが、彼らの半数近くは、「好きな韓国料理は?」と訊くと、「平壌冷麺」と答える。

 その理由は、淡白なスープと蕎麦粉の香る麺は飽きがこないこと。そして、平壌冷麺の店特有のつまみでまず酒を飲み、冷麺で〆る「先酒後麺(ソンジュフミョン)」という、日本の蕎麦屋飲みにも通じる楽しみがあるのが理由だ。

■日本からの旅行者が行きやすいソウルの平壌冷麺店、おすすめ4店!

 ソウル中心部にある平壌冷麺の老舗の多くは、北側をルーツとする人たちが開業した店だ。

 明洞辺りに宿を取る旅行者が多いことを考慮すると、アクセスがよいのは、『隣の国のグルメイト』でソン・シギョンが松重豊を案内した「筆洞麺屋(ピルドンミョノク)」だ。

 明洞駅から2号線で東方向に1駅の忠武路(チュンムロ)駅1番出入口から徒歩5分ほど。1985年開業で、ミシュランガイドにも選ばれる人気老舗店だ。

忠武路エリアにある平壌冷麺専門店「筆洞麺屋」の外観

 また、同じく明洞駅から東に2駅の「東大門歴史文化公園」駅5番出入口から徒歩3分の場所には、大箱の「平壌麺屋(ピョンヤンミョノク)」がある。

「平壌麺屋」の平壌冷麺

 鐘路3街(チョンノサムガ)や乙支路3街(ウルチロサムガ)~乙支路4街(ウルチロサーガ)辺りの宿に泊まる人なら、鐘路3街エリアで日本人旅行者の利用が多い「イビスアンバサダー仁寺洞」の目と鼻の先にある「乙支麺屋(ウルチミョノク)」が行きやすい。

「乙支麺屋」の平壌冷麺

 また、乙支路4街駅の4番出入口の階段を上がって地上に出てそのまま少し進み、最初の路地を右に曲がると左手には「又来屋(ウレオク)」がある。日本人旅行者の利用の多いホテル国都から徒歩5分弱。土日ともなると、プルコギと冷麺を楽しみに来る家族連れで賑わっている。

「又来屋」の平壌冷麺

「筆洞麺屋」や「乙支麺屋」の源流に当たるのは、京畿道・議政府市にある「平壌麺屋」である。この店は、ムン・チェウォンコ・ス主演の南北分断映画『あの人に逢えるまで』に登場した。

京畿道・議政府市にある「平壌麺屋」の平壌冷麺