Netflix配信のヒューマンドラマ『誰だって無価値な自分と闘っている』の主人公ドンマン(ク・ギョファン)は仕事の面でも、映画サークル「8人会」のメンバーとの折り合いについても、意中の女性ウナ(コ・ユンジョン)との関係においても、一進一退を繰り返している。

 気分がいいと言っては野菜をもりもり食べ、落ち込むと暴飲暴食に走り、バイト仲間から、「今日は野菜食べないんですね」と嫌味を言われる始末。

 しかし、6話ではウナから「ハルモニが作ったキムチチムを持ってお宅に行きます。いっしょに食べましょう」と言われ、歓喜するシーンがあった。(以下、一部ネタバレを含みます)

■『誰だって無価値な自分と闘っている』ドンマンと兄、ウナの気まずい会食に登場したキムチチム

 ウナが自宅にやってくるので有頂天になったドンマンだが、間の悪いことに外出しているはずの兄のジンマン(パク・ヘジュン)が帰宅していた。

 気まずい空気のなかで座卓を囲む三人。ジンマンは一人ソジュを飲んでいる。しかし、彼はわずかな言葉のやりとりでウナを認めたのか、自作の詩集にサインをして手渡す。静かだが、雰囲気が和やかになるいい場面だ。酒ばかり飲んでいたジンマンだが、ようやくキムチチムにも箸をのばす。

 精神状態が不安定な兄弟の家に、束の間の安らぎをもたらしたウナとキムチチムだが、日本の人にはあまりなじみのない料理かもしれない。韓国では日韓ワールドカップが開かれた2002年前後にちょっとしたブームになり、あちこちでキムチチム専門店を見かけたと記憶している。

専門店のキムチチム

 キムチチムとはざっくり言うと汁気が少なく豚肉がたっぶり入ったキムチチゲだ。長期間漬けられ酸味と辛味が調和したキムチと豚肉をチム(蒸し煮)したもので、家庭でもたまに作るし、全州マッコリタウンの店で出される多種類のつまみの一品だったりもする。

 蒸し煮されることにより濃厚な味になるので、ごはんも進むし、ソジュやマッコリのつまみにもなる。

全州のマッコリタウンで食べたキムチチム。写真のように豚肉を別茹でにしたものを添える場合も