軍に入隊して炊事兵となった新米兵士ソンジェ(パク・ジフン)が給食作りに悪戦苦闘する姿をコミカルに描いたドラマ『伝説のキッチン・ソルジャー』。第8話は台風被害で部隊のライフラインが断たれ、食糧が乏しい状況で兵士たちの食欲を満たさなければならなくなったソンジェの奮闘ぶりが見ものだった。(以下、一部ネタバレを含みます)
■『伝説のキッチン・ソルジャー』主人公ソンジェが白米、巻き貝、スルメ、カレーパウダーでが作った料理は?
食材が底をつき、味気ない戦闘食糧(非常食)が続き兵士たちの士気は低下する一方。そこでソンジェがチャレンジしたのが、スペイン料理パエリア(韓国式発音はパエヤ)作りだ。
パエリヤはスペイン式の海鮮ビビンパともいえるので、韓国人に人気のある食べ物だ。ソンジェは備蓄されていた缶入りの巻き貝(コルベンイ)と、上官が隠し持っていたスルメ(マルンオジンオ)、ターメリックの代わりにカレーパウダーを使ってパエリヤを作り、兵士たちの士気低下に歯止めをかけた。
コルベンイは韓国ではビールのつまみとして知られている。思い出すのは、ポン・ジュノ監督の映画『グエムル-漢江の怪物-』だ。感染を疑われ医者から禁食を命じられた主人公(ソン・ガンホ)が夜中、空腹に耐えられず、巻き貝をこっそり食べるシーンがあった。その巻き貝が怪物の姿を想起させるというブラックな演出がポン・ジュノ監督らしかった。
じつは朝鮮半島にはパエリヤに似た食べ物がある。南北が分断される前から北部でよく食べられていたキムチパプ(キムチの炊き込みごはん)だ。白飯と発酵の進んだキムチと牡蠣、イカ、小エビなどの海産物を鍋や釜で炊き上げたもので、筆者の母親は朝鮮戦争のとき半島北西部の海に面した黄海道から避難してきた人なので、子供の頃よく作ってくれた。
ベースの味はキムチ、塩、コショウくらいでシンプルだが、入る海鮮によって風味が変わるので、1970年代ではかなりのごちそうだった。キムチの酸味で食欲が増すので、たとえ海鮮が豪華でなくても美味しく食べられる。