本来、郊外や地方に出かけて味わうものを、ビル街でも食べられるのがソウルや釜山など都会の便利なところ。『隣の国のグルメイト』シーズン6の第12話では、バラード歌手ソン・シギョンと女優の三吉彩花が、日系のホテルもあり、ソウルのなかでは物価が安い永登浦(ヨンドゥンポ)で鴨肉料理を楽しんだ。
■Netflix『隣の国のグルメイト』でソン・シギョンと三吉彩花が鴨の焼肉を食べた永登浦はどんな街?
番組で二人が鴨の焼肉を食べた街、永登浦は、これまで日本からの旅行者には注目されなかったところだ。ところが、2019年末に日系のホテル、東横INNが開業し、コロナ禍が明けてからは、物価が高い明洞や江南エリアを避け、永登浦を拠点にする人が増えてきた。
物価が安いこと以外に、永登浦が日本植民地時代から工場街で、そこで働く人たちの遊興街の雰囲気が残っていたり、西洋的な洗練が進んだソウルのなかではアジア的な猥雑さが残っていたりするのも日本の韓国リピーターにヒットするようだ。
今でこそ、漢江の南、江南エリアは狎鴎亭(アックジョン)や新沙洞(シンサドン)、清潭洞(チョンダムドン)が賑わっているが、1970年代頃までは永登浦が最大の繫華街だった。かつて狎鴎亭や新沙洞が永東(ヨンドン)と呼ばれていたのは、永登浦の東側に位置しているからだった。永登浦が江南の中心だった証拠である。
■本当は郊外や田舎で食べたい料理
番組で二人が訪れた鴨焼肉店は、都市部にある店だけに、鴨の野趣だけに頼るのではなく、チーズやトッポッキなどトッピングにも工夫があった。
都会で田舎の空気が感じられるものを食べるのもいいが、やはり、鴨は近くに鴨農場があるところで、鰻は川の近くで、豆腐は水のきれいなところで、山菜は山奥で食べたいものだ。
ソウルや釜山など都市部に住む韓国人は週末、パラムセロ(風を浴びること=気晴らし)のために郊外に遊びに出かけることが多い。ソウルからなら、市の東方向に広がる河南市(ハナム)市や、『隣の国のグルメイト』の前回でソン・シギョンと三吉彩花が山菜料理を食べた楊州(ヤンジュ)が、近くて人気のエリアだ。
韓国には郊外型の飲食店とでも呼ぶべきものがあり、今回の鴨焼肉や鶏の水炊き(タッペクスッ)などの鶏料理、山菜料理、豆腐料理などの専門店がそれに当たる。ふつうの路面店もあれば、農場のテントやビニールハウスを使った「離れ」(サランバン)で食べるタイプの店も多い。