■海雲台伝統市場で生ビール4杯

 初日のツアー日程をすべて消化すると、10時を回っていた。だが、このままベッドで横になるほど優等生ではない。ホテルには24時間営業のカジノがあるが、賭け事には興味がない。福岡の旅行会社に勤めている友人(50歳)がたまたま釜山に来ていたので、海雲台伝統市場で一杯やることにする。

 友人は高校生のときから朝鮮半島の言葉に惹かれ、当時は珍しかった朝鮮語学科のある地方の大学に入った酔狂な男だ。私と同じで西洋的な洗練が進んだ海雲台には戸惑っている様子なので、二人で1990年代の心の釜山を取り戻すため、雑居ビルの2階にあったHOF(大衆的なビアホール)で500ccのジョッキを次々に乾していく。

 雨が上がり、開け放たれた窓から入ってくる涼風が湿度を奪っていく。どこかよそよそしかった海雲台がやっと体に馴染んできた。

パラダイスホテル釜山の朝食。高級ホテルのビュッフェは体調に合わせて料理を選べるのがうれしい。これが楽しみで毎朝6時に目覚めるようになり、帰国してからも早起きが身についている

(つづく)

*取材協力:韓国観光公社