■パジラッチュク/アサリ粥(扶安郡)
西側を干潟の多い海に接している全北は貝類が豊かなことでも知られている。近年は干拓工事などが進み、以前ほど多く獲れないので少し値は張るが、肉厚で味が濃厚なハマグリやアサリは食べる価値がある。
貝料理のなかでも比較的リーズナブルに楽しめるのがパジラッチュクと呼ばれるアサリ粥だ。鮮度のいいアサリには肝機能を高めるタウリンが豊富に含まれているので、疲労回復や二日酔い解消も期待できる。
貝料理専門店が多い辺山半島は、パク・チョンミン&キム・ゴウン主演映画『サンセット・イン・マイ・ホームタウン』や、ユン・ジュンサン&イザベル・ユペール主演映画『3人のアンヌ』の舞台でもある
■カンジャンケジャン/ワタリガニの醤油漬け(群山)
韓国料理好きの日本の人のなかでも屈指の人気を誇るカンジャンケジャン。海外駐在や旅行経験の豊富な筆者の知人のなかには、「世界で一番美味しい食べ物」と言う人も少なくない。
ワタリガニを産する西海岸に面した群山には、カンジャンケジャンの専門店が多く、質のよいものが東京やソウルより安く食べられる。
■ムウクッ/牛肉と大根のスープ(群山)
唐辛子とニンニクが効いていてパンチがある。これが日本の人の韓国料理に対する固定観念かもしれない。しかし、群山市で撮影された名作映画『八月のクリスマス』ゆかりの地の向かいにある「ハニルオク」の看板料理、ハヌムウクッは、唐辛子をほとんど使わない淡白なダシで韓国産牛肉と大根を煮込んだやさしいスープだ。韓国料理の刺激で胃腸が疲れ気味と感じたときは、ぜひ食べてみてほしい。