日本でもNetflixで配信されている今夏の人気作『Missナイト&Missデイ』は20代と50代を夜と昼で行ったり来たりすることになってしまった女性の物語だ。サスペンス要素もあるファンタジーロマンスだが、物語の本筋がどうでもよくなるくらい、人間模様や舞台設定がおもしろい。

 今回はそんな場面のひとつ、20代ヒロインのイ・ミジン(チョン・ウンジ/A pink)と親友のト・ガヨン(キム・アヨン)、ケ・ジウン検事(チェ・ジニョク)とチュ・ビョンドク捜査官(ユン・ビョンヒ)が4人で食べたプルチョッパル(激辛豚足)にフォーカスしてみよう。(以下、一部ネタバレを含みます)

■『Missナイト & Missデイ』に登場したプルチョッパルはどんな料理? むしゃくしゃしたら辛いものが食べたくなる韓国

 『Missナイト & Missデイ』9話。ミジンと親友ガヨン、ジウン検事とビョンドク捜査官の4人は半ば偶然、会食することになるのだが、ことの発端はミジンのストレスにあった。

 私たち韓国人はむしゃくしゃしたり、イライラしたりしたとき、辛いものを食べる傾向にある。

 ストレスを抱えたミジンとそれを気づかうガヨンが食べたがった「プルチョッパル」とは、激辛ソースをかけて焼いた豚足(チョッパル)のこと。プルはプルコギのプル(=火)だ。「メウン(=辛い)チョッパル」という名前で出す店も多い。

 韓国人にとって辛いものは身心のリセット効果のある食べものなのだ。

 ドラマ『シスターズ』第2話では、主人公(キム・ゴウン)が怒りながら辛いヨルムククス(若大根のキムチのせ)を食べるシーンがあった。

 また、キム・スンウ主演ドラマ『深夜食堂fromソウル』3話では、日本版『深夜食堂』の「お茶漬けシスターズ」が「ククス(麺)シスターズ」に変わっていて、気性が激しく、何かとストレスを受けやすい女性(『賢い医師生活』のチャン・ヒジョン)の好物がピビムククス(汁なし激辛麺)という設定だった。

ソウル・昌信市場の専門店で焼かれるメウンチョッパル

 韓国にはチョッパルの専門店や専門店街もあるくらいだが、日本では豚足は一般的な食べ物ではないようだ。筆者は日本の大衆的な居酒屋で何度が食べたことがある。豚足の名の通り、蹄のある部分を長時間茹でたあと冷やしたものがそのまま出てきたので最初はびっくりした。

 韓国ではスネの部分の肉まで使うし、醤油やシナモンなどで煮られ飴色に仕上げるため、豚の足を食べている感じはあまりしない。堂々たる肉料理である。

辛くないふつうのチョッパル(豚足)