■平壌冷麺のスープは器を持ってごくごくと飲んでいい

 豚肉とソジュで身体と心のアイドリングができたら、いよいよ冷麺を注文する。

 韓国料理のごはんやおかず、汁物の器はテーブルに置いたまま、箸やスプーンを使うのが基本だ。しかし、ムルネンミョン(水冷麺)と呼ばれるスープのある冷麺の場合は、『隣の国のグルメイト』の筆洞麺屋でソン・シギョンと松重豊がしていたように、器を両手で持って口をつけ、ごくごくとスープを飲んでいい。

 平壌冷麺のスープは客が飲み干すことを前提に作られているので、しょっぱくないどころか、繊細な旨味がある。松重はソンのアドバイスを受けて、唐辛子粉を入れたり、茹で卵の卵黄を溶かしたり、酢を加えたりして八割方飲んでいた。好き好きだが、何も加えず最後の一滴まで飲み干すと後味がよい。

 日本では蕎麦は蕎麦粉の香りを楽しむために積極的に音を立てて食べる人が少なくない印象だ。ラーメンもすする音を気にする人はほとんどいないように見える。韓国では日本と比べると積極的に音を立ててすする人はそういない。一応、心得ておくとよいだろう。

 筆洞麺屋でソン・シギョンが最後に頼んでいたのは、ピビムネンミョン。ソースが甘く、ゴマ油がきいている混ぜ麺だ。

「筆洞麺屋」のピビムネンミョン

●配信情報

Netflix『隣の国のグルメイト』独占配信中(毎週木曜日配信)

出演:松重豊、ソン・シギョン