Netflix日韓グルメバラエティ『隣の国のグルメイト』シーズン2「究極の味対決」第12話では、ソン・シギョンと松重豊がソウル郊外、議政府駅前の第一市場で食べ歩きしたあと、今や韓国人の国民食のひとつと言ってもいいチキンとビールを楽しんだ。
■チキンのおみやげを買って帰宅する父親が登場するドラマ
日本で韓流熱風が吹き始めた2003年以前に韓国にハマった人たちには、韓国のアジア的な猥雑さに魅力を感じていた人が多かった。ソン・シギョンと松重豊が番組で歩いた第一市場のような生活市場は、今もそんな魅力にあふれた場所だ。
ソン・シギョン(1979年生まれ)は西洋的に洗練された韓国にどっぷりつかってもいい世代であるにもかかわらず、生活感のある市場や大衆的な食堂が好きなので、筆者のような1960年代生まれの人間からすると大変好感がもてる。外国人観光客が多い広蔵市場などではなく、郊外の議政府第一市場を選んだセンスにも脱帽だ。市場を歩くシーンで、「ボク、ファッションに興味ないんです」と言っているように、見てくれには無頓着。人気バラード歌手らしくないそんなアンバランスさに人間味を感じる。
『隣の国のグルメイト』韓国チキン編の見せ場は、ソン・シギョンの父親世代が家族にチキンのおみやげを買って帰る話だった。
じつはそんな光景をリアルに見せてくれるドラマがある。ハ・ジョンウとファン・ジョンミン主演のNetflixドラマ『ナルコの神』である。
「トンタク(丸鶏)」と書かれたビニール袋を手に家に帰った主人公イング(ハ・ジョンウ)。居間の引き戸を開けると、小さな息子がおもちゃで遊び、その脇では妻(チュ・ジャヒョン)が娘に哺乳瓶でミルクをあげている。
息子は母親の手からチキンを美味しそうに食べる。それを見て安らかにほほ笑むイング。彼は子供時代に父親を亡くして以来、家族のために昼夜働き続けているのだが、そんな疲れを忘れる幸せなひとときである。

