パク・ジフン主演のミリタリークッキングコメディ『伝説のキッチン・ソルジャー』はウェブトゥーンが原作なだけに、大変ユニークなドラマだ。軍での料理や食事シーンの飛躍や誇張の演出が激しすぎて、今の60代以上の兵役経験者なら本気で怒る人もいそうである。しかし、そうしたシーンが大真面目に丁寧に作られているので、ついつい見入って、笑ってしまう。
ソンジェ(パク・ジフン)が軍の幹部たちの食事会で料理作りを命じられる第9話も、そんな楽しさ満載だった。(以下、一部ネタバレを含みます)
■パク・ジフン主演『伝説のキッチン・ソルジャー』はバディの物語でもある
韓国の三世代家庭の茶の間で『伝説のキッチン・ソルジャー』が流れている様子を想像すると、こんな画が思い浮かぶ。
子供や親がゲラゲラ笑いながら観ているなか、ハラボジ(おじいさん)だけが一人苦々しい顔をしている。映画のキャラクターでたとえるなら、『国際市場で逢いましょう』でファン・ジョンミンが扮したハラボジが似つかわしい。
ハラボジ「国防を担う者がメシに一喜一憂するなどけしからん!」
それを制するのはキム・ユンジンが扮したハルモニ(おばあさん)だ。
ハルモニ「あなた、時代が違うのよ」
そんなやりとりを想像してしまう『伝説のキッチン・ソルジャー』だが、単なるグルメものではない。多重的に楽しめるドラマだ。
主人公ソンジェのひたむきさが、料理だけでなく、人間関係まで美味しくする。部隊内の厳格な上下関係を超えた人間関係を築き、すばらしいバディを生んでいる。
なかでも、当初はとげとげしかった先輩炊事兵ドンヒョン(イ・ホンネ)とソンジェのエピソードは、イ・ホンネの豊かな表情と人間くさい演技が光り、韓国ドラマ史に残る名バディとなっている。
他にも、美食家をきどっている中隊長ソクホ(イ・サンイ)。無骨に見えるが、豊かな食材を生む全羅道出身で、実は食に対して意識の高い補給官ジェヨン(ユン・ギョンホ)。最初はソンジェをいじめていたが、たがいの心の痛みを知ることで絆ができた先輩グァンチョル(カン・ハギョン)らとの関係も、体温を感じさせる名場面が多い。
ソンジェを信頼する、姉のような存在の中尉イェリン(ハン・ドンヒ)も終盤に大きな見せ場がありそうだ。