日本人にとって最も身近な韓国の食べ物といったら、韓国のりである。のりにゴマ油やエゴマ油を薄く塗り、塩を軽く振って炙った味つけのりが一般的だ。料理の素材にも使えるが、そのまま食べてもおいしい。
韓国のりは、韓国旅行のお土産の超定番といってもいい。軽く、機内もち込みも自由で、値段もそう高くない。韓国も物価が上昇し、キムチもかなり高くなった。土産としての韓国のりの存在感はコロナ禍前より高まっている。
■目新しい韓国のりを探しに、市場の乾物通りへ行ってみる
先日も、週末に韓国に行ってきた知人から韓国のりをもらった。しかし知人は、韓国のりを手にしながら、盛んに頭をさげた。
「こんなものですいません。お土産と思ったんですが、キムチは水分の関係で機内にもち込めない。今回はZIPAIRだったんで、荷物を預けると有料になってしまって。菓子類土産はダイエット中の人もいるので避けたほうがいいともいう。悩みました。結局、韓国のりになってしまって」
韓国のりはあまりに定番の土産で、安易に映る。韓国に渡航する人は多いから、おそらく日本人の大半は、韓国土産として韓国のりは1回はもらっている気がする。それをあえて土産にする?
僕も悩む。仁川空港や金浦空港の免税品コーナーの韓国のり売り場の前で、立ち竦んでいる日本人をよく見かける。それなりの土産はすでに買ってある。ちょっと人に渡すといったばらまきを確保したいのだが、韓国のりというのもなぁ……と二の足を踏んでしまうのだ。
韓国は意外にお土産に困る国でもある。時間をかければ、渡した相手の目の色が少し変わるような品もみつかるだろう。しかしソウルの滞在日数は皆多くないから、土産物探しに多くの時間を割きたくない。
そこで考えた。免税品フロアーやデパート、ショッピングモールに並ぶお土産用韓国のりではなく、ちょっと説明を加えて渡せるような韓国のりはないものだろうか。
思いついたのが乾物通りだった。昔、ソウル在住の韓国人に連れていってもらったことがあった。そのときは土産物を買う目的ではなかったが、訊くと、「200枚入りが最低単位です」といわれて土産物から除外した記憶がある。
乾物通りは市場でもあり、完全にソウルの人たち向けで、観光客のことはなにも考えていなかった。韓国人は日本人よりのりをよく食べるから、200枚ぐらいを買って、常備食のように家に置いておく人もいるだろう。しかし観光客は違う。200枚も買って、どう鞄に入れるのか。ぎゅうぎゅうと鞄に詰めてしまうと粉々になってしまうかもしれない。
行ってみることにした。ネットでソウルの乾物通りと検索してみると、中部市場がヒットした。しかし乙支路スケトウダラの干物通りもあるようだった。調べてみると、前に行ったのは中部市場のようだった。地下鉄の最寄り駅は乙支路4街だった。
乾物通りは簡単にみつかった。駅を出てNAVERマップを開くまでもなかった。乾物の香りが漂ってくるのだ。それを頼りに進んいくと通りの入口に出た。アーケード街なのでみつけやすい。
訪ねたのは夕方の5時ぐらいだったが、まだ多くの店が開いていた。生鮮品の市場は早めに閉まるが、ここは乾物専門。夕方以降にやってくる人も多いらしい。実際、袋いっぱいに乾物を買って帰る奥さんたちが何人もいた。
通りに入ってみた。両側に乾物がぎっしりと並んでいる。ナツメ、決明子茶(キョルミョンジャ茶)、エゴマ油……。お土産になりそうなものが置かれている。しかしまずは韓国のりである。数軒目の店に、韓国のりが置かれていた。
この通りは店を切り盛る中年女性たちの圧をまったく感じなかった。広蔵市場にいくと、呼び込みというか売り込みの声が響き、その圧が強い。辟易としてしまう。しかしこの乾物通りは地元の人向けだから、いたっておとなしい。