済州島(チェジュド)の中央に毅然と立つのは、韓国最高峰の漢拏山(ハルラサン)である。標高は壮麗なる1950メートルにも及ぶ。この雄大な山が南北を隔てる壁として機能しているため、島の北部と南部では気候が異なっている。

 南部の西帰浦(ソギポ)市の人は口を揃えて言う……「北部は北風が荒々しく吹き荒れて南と比べて気温も2度から3度低い」と。

 北部と南部とでは地形も違う。北部は平坦な海岸線が目立つが、南部は断崖絶壁が多い。それゆえ、いくつかの著名な滝も南部に偏在している。

 このように、南部が観光面で恩恵を受けているのも納得だ。断崖絶壁の風景はまさに絵画の如く美しく、ウェドルゲの海岸もまた一例となっている。

■『宮廷女官チャングムの誓い』のロケ地になった済州島のウェドルゲ

 ウェドルゲとは、周囲10メートル、高さ20メートルの大きな岩だ。見た目では、海中から大空に突き出ている。かつて火山の爆発によって海岸線に溶岩があふれ出たとき、一部が孤立して海中の奇岩となったのだ。その単独性から、他の岩とは異なる寂寥感を漂わせており、ウェドルゲ(韓国語で「ひとりぼっちの岩」という意味)と呼ばれるようになった。

 それは西帰浦の港から西へ約2キロの地点に位置している。ここには奇岩の断崖絶壁が連なり、周囲の海は青々と輝き、実に美しい光景が広がっている。こうした特徴を持ったウェドルゲの海岸では、イ・ヨンエ主演の『宮廷女官チャングムの誓い』の撮影も行われた。その経緯を示した観光案内の看板は、確かに誇らしげな雰囲気を漂わせている。

 実際、ウェドルゲが有名になったのも、大ヒットしたこのドラマの影響がある。さらには遊歩道の整備も行われて人が集まるようになった。

左に見える奇岩がウェドルゲ