ジャンオクイウナギ焼き(高敞郡)

 ジャンオクイとはウナギ焼きのこと。全羅北道の西海岸に面した高敞(コチャン)郡の名物で、焼肉のように卓上で焼いたものに生ニンニク、唐辛子、味噌などの薬味を添え、サンチュで巻いて食べる。高敞郡名産の野イチゴを漬けたポップンジャ酒との相性がよい。

 日本のウナギ料理とはひと味もふた味もちがう韓国式ウナギ料理を一度体験してみてほしい。

左がジャンオクイのヤンニョム焼き、右が塩焼き。手前左のグラスがポップンジャ酒

ファンテクイスケトウダラの干物(全州)

 全州をはじめとする全羅北道では、「カメク」と呼ばれる業態が一般的だ。ソウルでいうシュポ(一杯飲ませる食料雑貨店)のことだが、全北のカメクはもっと店の規模が大きい。そして、ほとんどの店がつまみとしてファンテクイ(スケトウダラの干物を炙ったもの)を出している。ソウルでも乙支路3街ビアホール街でよく見かけるが、全州のそれは干物の質が大きく違う。

 冬場、韓国の寒冷地で干され、夜冷凍↔昼解凍を繰り返し、熟成したのがファンテだ。その叩き方と炙り方に違いがあるのだろう。カメクのファンテは、手でバリバリ割れるほどやわらかく、その身は粉を吹くほど。ひと口含むと口中の水分が一気に奪われる。そこにビールを流し込むのがカメク飲みの醍醐味だ。

全州の人気カメク「ジョンイル・シュポ」のファンテクイ
「ジョンイル・シュポ」の店の片隅にある練炭ストーブで炙られるファンテ

*取材協力:全羅北道 文化体育観光局 観光産業課