■ビビンパ/混ぜごはん(全州)
韓国料理のアイコン的存在のビビンパ。二十種ものおかずひとつひとつを調理してから、ごはんにのせる手の込んだ料理だ。その本場は全羅北道の全州といわれている。
数年前までソウル明洞にあった有名店「全州中央会館」のビビンパが石焼きだったため、全州ビビンパ=石焼きと認識されがちだったが、石焼きはソウルで開業する際に開発された新機軸という説が有力で、全州では一般的ではない。
韓国人はビビンパにコチュジャンをたっぷり加え、しっかり混ぜて食べるが、日本の人からは、「そうするとすべてがコチュジャン味になってしまうので、何を食べているかわからない」という意見もよく聞く。コチュジャンは少なめにするか、ビビンパの半分にだけ混ぜるとか、自由に食べてよいと思う。
■コンナムルクッパ/豆モヤシのスープごはん(全州)
コンナムルクッパは全羅北道の名産品、大豆モヤシのクッパ(汁かけ飯)のこと。ビビンパの店にはあまり行かない全羅北道の地元民も、コンナムルクッパの店には足繁く通う。
大豆モヤシは肝機能回復効果があるといわれるアスパラギン酸を豊富に含むので、二日酔いのときに食べる人が多い。主役にはなりにくい大豆モヤシという食材で、美味しいスープを作ってしまうところに全羅道の食の丹精が感じられる。