永登浦(ヨンドゥンポ)のテジカルビ、忠武路(チュンムロ)の平壌冷麺と続いたNetflixグルメ番組『隣の国のグルメイト』韓国編。9話では、ソン・シギョンと松重豊が、ソウルの薬水(ヤクス)駅前で菓子パンやホドゥクァジャ(クルミ饅頭)をはじめとする街角スイーツを食べ歩いた。
韓国人は日本人より大食なうえ、おやつが好きで間食にも余念がない。街角でサッと買ってすぐ食べられるものも多彩だ。今回は薬水という街の雰囲気と、筆者がソウルでよく食べるストリートフードについて紹介しよう。
■Netflix『隣の国のグルメイト』街角スイーツ編の薬水はどんな街?
薬水駅は、『隣の国のグルメイト』8話で二人が平壌冷麺を食べた忠武路から地下鉄3号線で2駅だ。有名な新羅ホテルからは歩いて15分くらいで行ける。
筆者はテジカルビが美味しい店「ウソンカルビ」が薬水駅近くにあるので、たまに出かけている。ソウル中心部に近いわりにはストリートフードの店も多く、下町感があって楽しい。しかし、ここ数年は再開発が進んで、高層アパートと70年代風雑居ビルが共存する新旧まだらな佇まいだ。
ソン・シギョンと松重豊が立ち寄った薬水の「ホドゥカギ・ホドゥクァジャ」は、人気のクルミ饅頭店だ。ホドゥクァジャは高速道路のサービスエリアで売られているポピュラーな菓子である。
薬水を訪れたら、人気ドラマ『ドクタースランプ』のロケ地、ハヌル(パク・シネ)とジョンウ(パク・ヒョンシク)が住んでいた城壁脇の家(カフェとして営業中)に寄るのもいいだろう。城壁沿いの道や坂道、小さなスーパーなどドラマに登場した風景が広がっている。

■ソウルのおすすめ街角スイーツ&ストリートフード紹介
●『隣の国のグルメメイト』松重豊のおすすめ!チャプサルドノッチュ(もち米ドーナッツ)
『隣の国のグルメイト』9話でさまざまなストリートフードを食べ比べた松重豊が、ナンバーワンに挙げたのが一品が、チャプサルドノッチュ。もち米粉の生地を揚げたものだ。
筆者が子供のころは、店先でジャーッという音とともに揚げられ、ふわっと膨らむ様子がおもしろくて、いつまでも見ていたものだ。そうすると、たいていオモニが買ってくれた。具もなく素朴だが、いくつになってもたまに食べたくなる。日本の人にも最初はプレーンなものを試してほしい。
●ストリートフードの二大巨頭、オデンとトッポッキ
オデンとトッポッキは、ストリートフードの二大巨頭だ。オデンは日本語由来なので、韓国語のオムク(魚の練り物)という言葉を普及させようとしているのだが、いまだにオデンと呼ぶ人が多い。
日本からの旅行者がよく言う。冬場、酒を飲んで宿に帰る途中、小腹がすくが、一食食べるほどではない。ちょっとおなかをあたためるのにオデンがちょうどいいと。しかし、1本ペロッと食べてオデンクンムル(スープ)を飲んでいると、ついもう1本、あと1本と食べたくなってしまうのが難である。
一方、トッポッキは東京や大阪のコリアンタウンでも食べられるが、本場のそれはさらに辛い。『ドクタースランプ』のハヌルとジョンウも言っていたように、この辛さがストレス解消になるので、筆者もむしゃくしゃしたときや気分が晴れないとき、気つけとしてよく食べる。

●中国由来の人気菓子、タンフル(フルーツ飴)
タンフルは、イチゴ、ミカン、シャインマスカットなど季節の果物を水飴でコーティングした中国由来の菓子。固まった飴のパリパリとした食感と咀嚼音が小気味よく、クセになる。かわいらしい見た目から大人には敬遠されがちだが、食べてみると、「意外にイケる」と言う人が多い。

腸詰とは言うものの、実際に豚の腸を使っているのは北朝鮮由来の本格的なスンデ。ストリートフードとして売られているものは「市場(シジャン)スンデ」と呼ばれ、豚の腸ではなく筒状のセルロースの中にでんぷん質のタンミョン(春雨)を詰めたものが多い。おやつにもなるし、酒のつまみにもいい。塩をちょっとだけつけて食べるのがおすすめ。

●日本とはちょっと違う、韓国式コロッケ
最近は日本風のコロッケも売られているが、『隣の国のグルメイト』でストリートフードの韓国式コロッケを初めて食べた松重豊が言っていたように、日本のおかずっぽいコロッケとは趣が違う。ポテサラやひき肉、タンミョン入り揚げパンというほうが実体に近いだろう。日本のコロッケはお肉屋さんで売っているが、韓国のコロッケはパン屋さんにある。
