午前1時台から2時台にかけ、東京の羽田空港からソウル仁川国際空港に向かうフライトが3便ある。アシアナ航空大韓航空、ピーチが運航している。どれも午前4時台に仁川国際空港に着く。体はきついが、ソウルでの時間はたっぷりとれる。しばしばこの時間帯の便を利用する。マイルの関係でアシアナ航空を使うことが多いが、ときにピーチにも乗る。

韓国の薬局事情、日本との違いは?

 この夜行便で必ず目にする光景がある。フェイスパックを貼り、背もたれを倒して寝る日本人の女性たちだ。機内に何人もいる。最近は長時間貼っても問題がないフェイスパックがあるのだという。白いパック顔を見られたくないのか、帽子を深めに被って目を閉じる女性が多い。

 僕はしばしば飛行機の夜行便に乗るが、東京からソウルに向かう路線以外で、フェイスパックを貼って寝る女性の姿を見たことはない。ソウルへ行くんだなぁ。そんな思いにいつも駆られる。

 ソウルは韓流のメッカだが、ソウルを訪ねる女性のなかに、韓流ファンとか韓国好きとは別に、美容目的の人が少なくない。以前からソウルで売られているコスメなどが話題になっていたが、最近、その方向はより深化しつつあるように思う。

 江南スクエア薬局という薬局がある。「日本人女性の聖地のような薬局ですよ」といわれて、一度入ったことがある。店員は棚に並ぶクリームをとってこう説明してくれた。

「ここに並んでいるのは再生クリーム。医薬品です。いまはこれがいちばん人気ですね」

 なかなか日本語がうまい。

「このクリームは傷の治りを助けてくれます。ソウルにはレーザーを使ったり、目や鼻の整形などの美容施術が盛んでしょ。それを受けた日本人が施術の跡を目立たなくするために買いに来るんです。これはステロイドや抗生物質が入っていないので日頃のスキンケアにも使えるんですよ」

 日本人の男性客もくるらしい。シミとりレーザーや、ニキビ跡を消す施術を受けた若者多いという。

 ソウル在住の知人の話では、ソウルに来た初日に美容施術を受け、こういったクリームを塗ってソウル滞在。目立たないようになって日本に帰るのだという。美容クリニックを補う役割を薬局が担っていることになる。ソウルといえばオリーブヤングが知られているが、そこにはこの種の医薬品は置かれていないという。

ソウル江南の薬局、ほとんどの薬に日本語の説明がある