韓国の人気バラード歌手ソン・シギョンと日本の女優の三吉彩花が互いの国の美食巡りをするNetflixグルメバラエティ隣の国のグルメイト』。シーズン6の8話は、ソンがプライベートでよく訪れるソウル、薬水駅近くの海鮮料理店に三吉を案内し、白身魚の刺身、貝類など、さまざまな海の幸を韓国式に楽しんだ。

■Netflix『隣の国のグルメイト』で訪れたソウルの海鮮料理店、マクフェとは何か?

 コンサートの前、ダイエットする必要があるとき、ソン・シギョンがヒラメの刺身を食べに行くという店で最初に出てきたのは、マクフェだ。

 ソンが説明していたように、マクフェのマクとは「大雑把に」「荒っぽく」のような意味で、あまり見た目を気にせずに切られたフェ(刺身)のこと。マクに当たるハングルはマッコリの頭文字と同じで、マッコリは雑に、荒く漉した酒という意味だ。

 マクフェはただ刺身を指すこともあれば、ミナリや春菊といっしょに盛られた刺身にチョコチュジャン(酢味噌)やヤンニョムジャン(薬味味噌)をかけ、かき混ぜて食べるものを指すこともある。韓国の酒飲みなら、この説明を聞いただけで冷えたソジュを連想するだろう。

■韓国と日本、刺身文化の違い

 この十数年、韓国人が刺身先進国日本を旅行する機会が増え、リピーターも珍しくなくなった今、韓国の刺身もずいぶん目で楽しむことをたいせつにするようになったと思う。

 20年くらい前は、日本の人を韓国の刺身屋に連れて行くと、「刺身が日本よりずっと安く食べられるのはうれしいが、どかどかっと出てくるのでありがたみがない」とよく言われた。確かに日本では大衆的な居酒屋で刺身の盛り合わせを頼んでも、少しずつ見目麗しく盛りつけられるものが多い。

 また、これもよく知られるようになってきたが、元々、韓国は獲れたてをありがたがる活魚志向が強く、日本は熟成させて旨味を引き出して食べることをありがたがる傾向が強い。筆者はブリの刺身を食べ慣れている北陸地方の人を、冬場、済州のブリ刺(パンオフェ)が人気の店に何度か案内したことがあるのだが、そのときも、「もう少し寝かせたほうがいいのに」と言う人が多かった。

ソウルの中級クラスの刺身屋で出てきた盛り合わせ
江陵市(江原道)の中級クラスの刺身屋で出てきた白身魚の盛り合わせ