しかし今回はトトリムクである。味わいながら口に運ぶ。

 昔、束草で食べたトトリムクは素朴な田舎料理だった。その味の記憶も曖昧なので比較は難しいが、木覓山房のトトリムクは現代の料理だった。ソウルや欧米人の女性が好みそうな料理に進化していた。

「こういう料理を食べると、マッコリが飲みたくなるけど、そういう世界じゃないですよね」

 知人が笑った。

 後日、トトリムクの話をしていると、

「トトリジョンもありますよ」

 という声が聞こえてきた。トトリジョン? どんぐりのチヂミである。そうこうしているうちにトトリミョンというメニューの話も流れてきた。どんぐりである。

 まだ食べたことがない。 

 トトリジョン、トトリミョン──。日本語で検索してみたが、これをメニューに載せている店はなかなかヒットしなかった。韓国人に探してもらうしかないか。ソウルを出て、山のなかの食堂をめざさなくてはいけないかもしれない。

 そんなどんぐりの旅は追って。