私の事務所代表(日本人男性、訪韓は3年2カ月ぶり)のソウル・釜山・大阪10日間の旅。
シリーズ連載の最終回は定期客船パンスタードリーム号を下り、再び大阪の地を踏む。そして、鶴橋のコリアンタウンや京橋、西成を歩く。
■釜山からパンスタードリーム号で大阪へ、韓国の旅の余韻を楽しむ
日本に着いても旅は終わらない。関東人の自分にとって、大阪は歩き慣れたソウル・釜山以上に異国だからだ。
往路復路でお世話になったパンスタードリーム号に別れを告げ、コスモスクエア駅行きのバスに乗る。20歳前後に見える韓国男子4人組が、「イルボンダ! イルボンダ!(日本だ! 日本だ!)」とはしゃいでいる。初めての海外旅行に日本を選んでくれたのだとしたら、うれしいことだ。彼らのわくわくする気持ちが伝わってきて、こっちまで笑顔になる。
韓国人の日本デビューが大阪というのもおもしろい。個人主義が発達している東京より、人間(じんかん)距離の短い大阪のほうが、韓国の人とは親和性がありそうだ。
地下鉄で天満橋駅に向かう。コロナ前の大阪出張で環状線の天満駅では何度か下りたことがある。天満橋もそこから遠くないし、名前も似ているので、駅前から商店街が続いているような街かと思ったら、すっきりしたビジネス街だった。街の位置関係と性格がわからない不安定さがかえって心地よい。旅はまだ続いているのだ。
■大阪の京橋で、ソウルの鍾路3街と永登浦がフラッシュバック
今夜は友人と京橋で飲む。京橋は4、5年前、大阪出張から帰る日、土曜日だったと思うが、午前中から駅前の立ち飲み屋街が盛況だったことに興奮した記憶がある。そのときは冷やかしただけなので、京橋飲みは宿題になっていた。
友人が言うには、自分は守口のほうに住んでいるので遊びも買い物も梅田や難波まで行かず全部京橋で済ませるとのこと。関東でいえば、板橋辺りに住んでいる人が銀座や新宿まで行かず、池袋で済ませるような感じだろうか。
3路線が交わる京橋駅を降りると、京阪デパートをはじめとする大規模商業施設がいくつもあり、池袋感はあるが、駅の東側から出るといきなり立ち飲み屋や立ち食いうどん屋に迎えられ、心が踊る。東京で駅前から濃い飲み屋街が始まる街と言えば、赤羽や西荻窪を思い出すが、赤羽は駅から飲み屋街への距離で劣るし、西荻窪は飲み屋街の厚みで京橋の足元にも及ばない。