ソウルでときどきタウナギを食べる。ウナギではない。タウナギだ。知人と一緒に夕食をとる。韓国だから、ビール(メクチュ)、そして焼酎(ソジュ)と進む。夜の10時頃、そろそろ帰ろうと地下鉄駅に向かって歩きはじめる。

 知人が、「少し時間があるから、もう少し飲みましょうか」と口を開き、駅前の何気ない店に入る。そこにタウナギがある。その種の店は、日本でいったらホルモン系の店だ。ひと口大の料理を網で焼いたり、アルミホイルの上に載せて温めて食べる。ソジュが進むつまみでもある。

 知人は日本に留学していたから、間違いではないと思うが、いつもこういう。

「日本のウナギもおいしいけど、酒のつまみはタウナギですよね」

 頷くが、正直いって、タウナギの味に開眼するレベルには至っていない。しかしソウルにはこの種の店が多い。料金も安い。少人数の二次会には都合がいい店だ。

■韓国のタウナギはどんな食べ物?

 韓国ではじめてタウナギを食べたのは釜山だった。流暢な日本語を話す主人が、タウナギがあるといわれた。カメラマンと一緒だった。彼は、「タウナギ? ウナギじゃなく?」といって首を傾げた。

 僕はタウナギについて、ある程度の知識があった。日本ではタウナギはあまり食べないが、台湾で何回も食べていた。台南だったと思う。その店の名物がタウナギそばだった。

 台湾ではタウナギを鱔魚と書く。その店の看板に日本語があり、「田ウナギ」と書かれていた。その店ではタウナギをウナギのかば焼きのように開き、さっぱりとした醤油系のたれに漬け、それを焼いてそばに載せていた。日本のニシンそばに少し似ていた。

 気になってタウナギについて調べてみた。タウナギとウナギは見た目は似ていたが、かなり違った魚だった。タウナギは田や流れの弱い川に生息する淡水魚で、昆虫や藻などを食べていた。それに対してウナギはいったん海に出る回遊魚。肉食性で魚や水中の小さな動物を食べていた。

 この食性の違いが歯ざわりや味の違いを生んでいるのだろうか。ウナギの肉は柔らかく、かば焼きにするとご飯に合う。しかしタウナギは身がしまっていて、歯ごたえがある。そばの具に合っていた。

 釜山の食堂でそんなにわか知識を披露したのだが、出てきたタウナギは、台湾とはまったく違っていた。開きではなく、ぶつ切り状だった。やや甘味と辛みのあるたれに漬け込まれ、それをざっくりと焼いていた。これはご飯にもそばにも合わない。

 韓国の人たちは、タウナギをつまみにしていた。焼いた身はやや硬く、こりこりとしていた。ビールに合う。

「韓国ではこうして食べるのか……」

 それが韓国タウナギの印象だった。

釜山。この街はタウナギ、ヌタウナギの本場でもある